洗濯したばかりの衣類から、なんだか生乾きのようなニオイがする。そんな経験はありませんか。
実はその原因、洗濯機に潜むカビかもしれません。「洗濯が終わったらフタを開けておけば大丈夫」と思っている方も多いはず。でも、それだけでは不十分なケースがあるんです。
洗濯機は毎日のように水を使います。湿気がこもりやすく、ちょっとした工夫を怠ると、あっという間に黒カビの温床に。カビが繁殖すれば衣類に黒い点々がついたり、アレルギーや肌トラブルの原因になったり。私たちの健康にも悪影響を及ぼします。
この記事では「本当に開けておくべき場所」や「効果的な乾燥方法」を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
縦型とドラム式、それぞれの違いにも触れながら、今日から実践できる具体的な方法をご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。清潔な洗濯機で、毎日を気持ちよく過ごしましょう。
目次
なぜ洗濯機はカビが発生しやすいのか?

洗濯機は家電の中でも、特にカビが発生しやすい場所として知られています。なぜなのでしょうか。その理由を理解しておくことが、効果的なカビ対策の第一歩です。
カビが好む4つの条件が揃いやすい
カビが繁殖するには条件があります。「湿度」「温度」「栄養源」「酸素」の4つ。洗濯機の内部は、まさにこれらすべてが揃いやすい環境なんです。
洗濯後の洗濯槽には水分が残ります。湿度が高い状態が続くわけです。室温も20〜35℃と、カビにとって快適な温度帯に保たれることが多いでしょう。それに洗剤や柔軟剤の残りカス、衣類から出る皮脂や汗、ホコリ。栄養源も豊富です。
そして洗濯槽は完全に密閉されているわけではありません。カビが呼吸するための酸素も十分に供給されています。このように洗濯機は、カビにとって理想的な環境が整っているのです。
洗濯槽の構造が湿気を逃がしにくい
洗濯機の洗濯槽は二重構造。外側の槽と内側の槽の間に隙間があります。この隙間部分、普段は目に見えません。掃除が行き届きにくく、湿気もこもりやすい場所なんです。
洗濯後にフタを閉めたまま。そうすると、この隙間に残った水分が蒸発せず、カビの温床になってしまいます。洗剤カスや繊維くずなどが蓄積すれば、さらにカビが繁殖しやすくなる。
洗濯槽の裏側は見えない部分だからこそ、意識的なケアが大切になります。
家族が多いとカビリスクも上がる
家族の人数が多ければ、洗濯の頻度も自然と増えます。洗濯槽が乾く前に次の洗濯が始まる。常に湿った状態が続くことになるんです。
洗濯回数が多ければ、それだけ洗剤や皮脂汚れが蓄積するスピードも早まります。梅雨の時期や夏場など、湿度が高い季節には特に注意。家族が多い家庭では、より意識的に洗濯機のカビ対策を行うことが求められるでしょう。
洗濯機は清潔に保たれているように見えても、内部では目に見えないカビが増殖している可能性があります。カビが発生しやすい理由を知ることで、適切な対策を講じることができるのです。
洗濯機のフタを開けておくだけでは不十分な理由
洗濯後にフタを開けておけばカビ対策はバッチリ。…そう思っている方も多いかもしれません。
でも実際には、それだけでは十分とは言えないケースがあります。
フタを開けても奥まで乾燥しないことも
洗濯機のフタを開けておく。確かに洗濯槽の上部には空気が入りやすくなります。
しかし、洗濯槽の底部や側面はどうでしょう。特に二重構造になっている隙間の部分。ここまで十分に乾燥させることは難しいんです。自然乾燥だけでは、湿気が槽の奥に残ったまま。その部分でカビが繁殖してしまいます。
特に湿度が高い日。風通しの悪い場所に洗濯機を置いている場合。フタを開けているだけでは乾燥が追いつかないこともあります。洗濯機のカビ対策では、表面的な通気だけでなく、槽全体をしっかり乾かすことが重要なポイントになります。
洗剤投入口も盲点になりやすい
多くの方が見落としがちなのが、洗剤や柔軟剤の投入口です。
この部分も水分が残りやすく、洗剤や柔軟剤のぬめりがカビの栄養源になります。フタを開けても投入口までは乾燥しにくいため、気づかないうちにカビが繁殖していることも。投入口は取り外して洗うこともできますが、日常的にはフタと同様に開けておくことで湿気を逃がすことができます。
細かい部分まで気を配ること。それが洗濯機全体をカビから守る秘訣と言えるでしょう。
ドラム式は特に注意が必要
ドラム式洗濯機。縦型に比べて密閉性が高く、フタを開けていても内部まで十分に乾燥しにくい構造です。
また、ドアのパッキン部分に水が残りやすい。そこからカビが発生することも少なくありません。ドラム式の場合は、フタを開けるだけでなく、送風乾燥機能を積極的に活用することが推奨されています。機種によってはフタの開けっぱなしが推奨されていない場合もあるため、取扱説明書を確認しながら適切な方法を選びましょう。
洗濯機のタイプに合わせたカビ対策を行うことで、より効果的に清潔さを保つことができます。
開けておくべきはここ!カビ防止の3大ポイント
洗濯機のカビ対策。フタ以外にも注意すべき場所があります。
ここでは、特に重要な3つのポイントをご紹介しましょう。
【ポイント1】洗濯機本体のフタは必ず開ける
まず基本となるのが、洗濯機本体のフタを開けることです。洗濯が終わったらすぐにフタを開け、できれば数時間は開けたままに。
縦型洗濯機の場合は全開にするのが理想的です。でも小さなお子さんやペットがいる家庭では、安全面を考慮して半開きにするのも一つの方法。半開きでも空気の流れが生まれるため、密閉状態よりはずっと効果的です。
ドラム式の場合。開けっぱなしにすることで扉のヒンジに負担がかかる機種もあるため、メーカーの推奨に従いましょう。開けられない場合は、後述する送風乾燥を活用することが大切です。
【ポイント2】洗剤・柔軟剤投入口も忘れずに
意外と見落とされがちなのが、洗剤や柔軟剤の投入口。
この部分も水分が残りやすく、液体洗剤や柔軟剤のぬめりがカビの栄養源になります。投入口は引き出して開けておくことで、内部の湿気を逃がすことができるんです。週に一度程度は取り外して水洗い。さらに清潔に保つことができるでしょう。
投入口を開けておくだけでも、カビの発生リスクをぐっと下げることができます。洗濯後はフタと一緒に投入口も開ける。習慣をつけましょう。
【ポイント3】糸くずフィルターもこまめにチェック
糸くずフィルターやゴミ取りネット。洗濯のたびにホコリや繊維くずが溜まります。
これらを放置すると、湿気と合わさってカビや雑菌の温床に。洗濯のたびにフィルターのゴミを取り除き、週に一度は取り外して水洗いすることをおすすめします。清潔なフィルターは排水もスムーズにし、洗濯機の故障予防にもつながります。
細かい部分のケアが、洗濯機全体の清潔さを保つ鍵になるのです。
正しい乾燥方法と日常のカビ対策
洗濯機のカビを防ぐには、開けておくだけでなく、日常的な習慣も大切です。
ここでは、毎日できる簡単なカビ対策をご紹介します。
送風乾燥(槽乾燥)を積極的に活用する
多くの洗濯機には、送風乾燥や槽乾燥といった機能が搭載されています。これは洗濯槽の内部に風を送り込んだり、加熱したりして湿気を飛ばす機能。
フタを開けるだけでは届かない。槽の奥や隙間まで乾燥させることができるため、カビ予防に非常に効果的です。理想は毎回の洗濯後に実行すること。難しい場合は週に一度を目安に行いましょう。
音が気になる場合は、昼間に実施するのがおすすめです。夜間よりも周囲への配慮がしやすく、習慣化もしやすくなります。
洗剤は適量を守って使う
「汚れをしっかり落としたい」という気持ち。わかります。でも洗剤を多めに入れてしまうと、溶け残りが発生しやすくなるんです。
洗剤の残りカスはカビの栄養源。逆効果になることも。洗剤のパッケージに記載された適量を守ることが、カビ予防にもつながります。洗濯物の量に合わせて洗剤の量を調整し、すすぎの回数を増やすのも効果的です。
洗濯物を洗濯機の中に溜めない
脱いだ衣類をそのまま洗濯機に入れっぱなし。これはカビ発生のリスクを高めます。
汗や皮脂がついた衣類は雑菌が繁殖しやすく、洗濯槽内の湿度も上がります。洗濯前の衣類はランドリーバスケットに入れ、洗濯する直前に洗濯機に入れるように。洗濯後の衣類も、できるだけ早く取り出して干すことが大切です。
洗濯機を洗濯カゴ代わりにしない。これがカビ対策の基本となります。
月に一度は槽洗浄を行う
日常的な乾燥とあわせて、月に一度は洗濯槽クリーナーを使った槽洗浄を。洗濯槽の裏側に蓄積した汚れやカビを、リセットすることができます。
酸素系クリーナーは発泡作用で汚れを浮かせます。塩素系クリーナーは強力な除菌効果。洗濯機のタイプや汚れの程度に応じて使い分けるとよいでしょう。定期的なメンテナンスが、長期的な清潔さを保つポイントです。
洗濯機の掃除には、部位に応じて洗剤を使い分けると効果的です。
取り外し可能な洗剤投入口やゴミ取りネットなどの細かい部分にはスプレータイプのクリーナーを使用し、洗濯槽本体には液体タイプを使うと便利です。特にスプレータイプは、通常の洗濯槽洗浄では洗剤が届きにくい柔軟剤投入口の内部などの掃除にも適しており、隅々まで清潔に保つことができます。
タイプ別|ドラム式・縦型洗濯機のカビ対策の違い
洗濯機には大きく分けて縦型とドラム式の2種類があります。
それぞれ構造が異なるため、カビ対策の方法にも違いがあるんです。
縦型洗濯機のカビ対策
縦型洗濯機は上からフタを開けるタイプ。洗濯槽全体が上に開いているため、比較的乾燥しやすい構造です。洗濯後にフタを開けておけば、自然に空気が流れやすくなります。
ただし、洗濯槽の底部や側面には水分が残りやすい。フタを開けるだけでなく、定期的な槽乾燥や槽洗浄を組み合わせることが重要です。酸素系クリーナーは縦型洗濯機との相性が良く、つけ置き洗いも可能。縦型の場合は、洗濯槽に水を溜めて汚れを浮かせる方法が使えるため、頑固なカビにも対処しやすいでしょう。
ドラム式洗濯機のカビ対策
ドラム式洗濯機は横開きのドア。密閉性が高く、縦型に比べて湿気がこもりやすい構造です。
特にドアのパッキン部分に水分が残りやすく、黒カビが発生しやすいため注意が必要。洗濯後はドアを開けて通気を確保し、パッキンに残った水分を拭き取る習慣をつけましょう。また、ドラム式は送風乾燥機能が充実している機種が多いため、積極的に活用することをおすすめします。
槽洗浄には塩素系クリーナーが推奨されることが多く、つけ置きができない分、短時間で効果を発揮するタイプが適しています。取扱説明書を確認し、機種に合った洗浄方法を選びましょう。
どちらも共通する大切なポイント
縦型とドラム式。どちらのタイプにも共通するのが洗濯後の素早い対応です。
洗濯が終わったらできるだけ早く衣類を取り出し、フタや投入口を開けて通気を確保する。また、洗剤の適量使用や洗濯物を溜めないこと、月一回の槽洗浄など、基本的なカビ対策はどちらのタイプでも変わりません。洗濯機のタイプに応じた工夫を取り入れながら、日々のケアを続けることが、清潔な洗濯機を保つ秘訣です。
まとめ
洗濯機のカビ対策。フタを開けるだけでは不十分なケースが多いことをお伝えしました。
洗濯機のフタはもちろん、洗剤投入口や糸くずフィルターといった細かい部分にも気を配ることが大切です。カビが発生しやすい理由は、洗濯機が湿度・温度・栄養源・酸素という4つの条件を満たしやすい環境にあるから。洗濯槽の二重構造や、洗剤カスの蓄積も、カビ繁殖を助長する要因となります。
縦型とドラム式では構造が異なるため、それぞれに適したカビ対策を取り入れましょう。縦型は自然乾燥がしやすい一方で、ドラム式は密閉性が高く送風乾燥の活用が重要です。どちらのタイプでも、月に一度の槽洗浄を忘れずに。洗濯槽の裏側に潜むカビをリセットできます。
洗濯機を清潔に保つこと。それは衣類を気持ちよく洗い上げるだけでなく、家族の健康を守ることにもつながります。今日から実践できるカビ対策を取り入れて、快適な毎日を過ごしましょう。

